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保守してくれてるチューリップさんに敬意を込めて。 -
庭先に、赤いチューリップが咲いた。
もうすぐ秋になるというのに季節外れなチューリップもいたものだ、と眺めていると、チューリップが私に語りかけてきた。
「あなたを守りたいの」
小さな声で彼女はそう囁く。
真っ赤な彼女の小さな体は、冷たい雨や夏の名残の強すぎる日差しに日々弱っていくように見えた。
こんな小さな動けない体で、彼女は私の何を守ろうと言うのだろう。甚だ疑問であった。
「あなたが大好きよ」
毎日、チューリップは私に小さな声で愛を告げる。
開ききった花びらが落ちて、いよいよ最後の一枚になった時、彼女は弱々しい声でそっと私に言った。
「私はこれから眠りにつくけれど、ずっと貴方のことを忘れないわ。大好きよ」
それから、彼女が私に語りかけてくる事は二度となかった。私の心には今も赤い美しい花が咲き続けている。