• yQBLQk11月9日
    返信先: @自分 「おれは、こうなる気がしていた。
    こういう取るに足らないことが、いちばんいけないんだ。
    帽子ひとつで、計画が壊れる。
    おかしい話だが、世の中、案外そういうものだ」
    言葉をつぶやきながら、彼は自分の影を見た。
    やけに長く、細く、歪んでいた。
    「この帽子は目立つ。だからおかしい。
    このぼろ服に、こんな帽子じゃ、誰の目にも止まる。
    十町先からでも覚えられる。
    あとで思い出されたら、それが証拠になる。
    ……いけない。おれはもう少し、人目を避けなければ」

    彼はまた笑った。
    笑いながら、胸の奥で、何かがすとんと沈んでいった。
    「小さなことが、大きなことを壊すんだ。いつだってそうだ。……おれの人生も、きっとそうやって終わるんだろう」
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