• 「こんなアイス初めて食べたよ」
    少女の表情をした君は何の変哲もないようなぱちぱちとした感触のアイスを頬張った。小さな幸せを丁寧に掬い上げるようなそんな君を見て、微笑ましく思いながら口端を拭う。
    彼女の余命は後1時間しかない。純粋であどけない君は重大な病気を患っているのだ。
    「今年の夏は海いけるといいね!」
    そんな日は来ない。
    「眠くなってきちゃったなあ……そういや貴方の名前はなんだっけ」
    君が付けたんだよ、忘れちゃったんだろうけど。
    僕はもう君の世話や相手をするのに疲れてしまった。だから僕が君の命を奪って全て終わらせるね。そう懺悔して僕は眠っている母に、少女の頃の幸せな記憶だけを抱いた母に手をかけた。
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