• 「不老不死?」
    僕は大学の先輩と旅行に来ていた。
    場所は小さな田舎町。何時間もかけて来たにしては何もない。しかし物好きな先輩のことだから何かあるのだろうと思ったら、案の定だ。
    先輩は突然不老不死なんて言い出した。

    「ここには徐福の墓がある」
    徐福。
    不老不死の霊薬を求めた秦の方士。本当に日本に渡来したのか怪しいが各地に伝承がある。
    この町もそのひとつなのか。

    「俺だって信じてないよ。でも霊薬があるって聞いたら気になるじゃん」
    「はぁ。……土産屋に売ってるんスね」

    僕らは涼みがてら土産屋に入っていた。
    目の前には「天台鳥薬」と書かれたお茶の葉が売られている。
    暫く立ち話をしていたら店の人が試飲させてくれた。独特な味がした。

    「早速墓を見に行くか!すみませんコレひとつ買います」
    先輩は“霊薬”を一袋買って観光へと乗り出した。
    口の中はまだ薬っぽい。不老不死とはいかずとも体には良さそうだ。
    「あ、先輩ちょっと待って」
    なんだか面白そうなので僕も“霊薬”を一袋購入した。
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