• 返信先: @自分 猫を捨てた事がある。
    ミィミィと甘ったれた声で鳴く子猫だった。弱っちいから母猫に置いていかれた子猫だった。
    ガキの俺はそいつを無責任に拾っては親に命じられるまま元いた場所へ捨てに戻ったのだ。
    蝉の死骸を蹴飛ばしながら歩いた記憶がある。今思えば暑かったのだろう、訴えるように繰り返し鳴く子猫を煩いと叱りつけてやっと地面に下ろす所へ、そいつは俺に声をかけた。
    「……その子、捨てちゃうの?」
    まんまるい目のそいつはじっ、と俺を見た。そうだよと答えたらふうん、と頷いた。
    「ひどいね。きみだって捨てられたら何も出来ないのに」
    同級生の筈なのに、妙に大人びた口振りをした奴だった。
    「ねえ、子猫を捨てるきみは将来どんな大人になると思う?」
    子猫が鳴く。蝉の声がけたたましい。
    「……別に、猫捨てたってなんも関係ないだろ」
    ムキになって答える俺にそうかなと言った奴が今どうしているのかは知らない。
    ――足元で耳が欠けた猫がにゃあと鳴いた。俺はそれを殴りも、抱きもしなかった。
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