• 季語だの四字熟語だの小難しい漢字だのと言ったものは、たったの一つも書けやしない。頭の中で作り上げた情景、人間、その他もろもろを、頭に浮かぶ限りの拙い言葉で繋ぎ繋ぎ紡いでいくのが私の小説だった。
    こういう時は他から学べと分厚い本を手に取るも、結局途中で目も頭もクルクルと回りだし、子供でもないのに知恵熱でも起こしたような気分になる。
    意味もなく大口を開けて酸素を取り入れ、また一つ地球温暖化を促進し、大作を生み出す訳でもなく目尻に涙を産み落とす。
    怠惰な自分を叱る声、いやいやしかし偉人の中には私以上に怠惰な者も、と適当な本で得た知識を乱雑に振りかざし私を擁護する声とが脳内で混ざり合い、結局その勝負は完全なる依怙贔屓で擁護側が勝利を収めた。
    こんな怠惰な日常でも綴ってみれば、案外某名無しの猫のように売れるだろうか。
    猫と言えば思い出したのはシュレディンガーの猫であるが、めでたい猫の日に思い出すのが猫のデッドオアアライブの脳内実験とは如何なものか。
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