• 「そう言ってあいつはアザラシになった」という題名の小説、出オチかなと思ったら、意外にしっかり楽しめた。主人公は一人暮らしの大学生。成績も人付き合いもそこそこな、良くも悪くも平凡な彼だけど、1つだけ他人に言えない秘密がある。それは、部屋の浴槽でたわし程の大きさのアザラシを飼ってる(彼いわく共同生活してる)事。
    人語を話すそのアザラシは、元は彼の高校時代の友人。卒業後は疎遠になってたけど偶然再会して、彼の部屋で2人で飲み会したんだ。そろそろお開き、って頃、友人が不意に主人公に
    「お前、アザラシ好きだったよな」て言うんだ。酔ってた彼も、目が可愛いよねって返したら、友人が
    「じゃあ俺はそれになる。お前、責任持って飼ってくれ」
    って。そして翌日、言葉通りにアザラシになってた。最初はもちろん主人公もパニックになったけど、数日もする内に(友人の抱える事情を知る内に)受け入れてくんだ。奇妙に明るくて楽しげで、切ない話だったよ
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