• UE/3Yd3月26日
    ___カシャリ、とシャッターを切る音と共に
    日常の風景の一欠片を、一つの写真に収める。
    いつの間にかそれが趣味になった僕に
    「...ねえ、私のこと撮ってくれない...?」
    と、僕のところに来る同級生の子がいた。

    どうやらその子は、人前で笑うことが苦手なようで。
    「はい、チーズ」
    合図をしても、顔は強張ってうまく撮れない。

    「ごめんなさい、全然笑えなくて」
    そう言って泣き出されてしまった。
    ...でも、僕はその姿に思わず見惚れてしまった。
    ...この姿を切り取りたい。この瞬間を撮影したい、と。
    「ちょっと失礼するね、」
    ___カシャリ。

    「勝手に撮るなんてごめん」
    僕はすぐ謝るとその子は写真を見て
    「...ううん、私が言うのもおかしい話かもしれないけれど」
    ホッとした表情でこういった。
    「初めて自分に自信が持てた気がします」
    僕はその子の少し嬉しそうな表情を見て、安堵した。

    数日後
    ___カシャリ。とシャッター音が鳴り響くところに
    眩しい笑顔を咲かす同級生の姿があった。
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