• /d2xrT6月7日
    カタカタ…
    静かな部屋にキーボードを叩く音だけが
    響き渡る。
    エンターキーをターンッ!!と気合を入れて叩くと視線を感じ、
    振り向くと後ろに彼がいた。
    音にびっくりした顔をしながら2つのマグカップを持っていた。
    私は赤面しながら苦笑いをした。
    彼もつられて笑みを浮かべながらマグカップを片方差し出す。
    私は礼をいいながら受け取る。
    カップを傾け口に含むといつもより砂糖が多く入ったコーヒーが口内を満たした。
    私が疲れていると思ったのだろう。
    彼の心遣いが嬉しかった。
    私は再びキーボードを叩き始めた。
    つい、またエンターキーをターンッ!!としそうになったが、すんでのところで止める。
    後ろから彼の視線を感じる。
    振り向くと彼がエンターキーを見つめていた。私は彼に代わりに押す?と仕草で質問する。
    彼は嬉しそうに首肯した。
    彼は楽しそうにエンターキーをターンッ!!と叩いた。
    それだけのことなのに2人で笑い合っていた。
    エンターキーで幸せを感じた不思議な午後だった。