OK
  • Se7kBK4時間
    雪の降らない年末をすごす年が長くなって、白に覆われた田舎の光景を忘れていく。ひどく不便だった、と思うのだけれど、時々懐かしく、かといって帰るのはやはり億劫だと思う程度には、不便へのわずらわしさが捨てきれない。
    何か、帰らなくてはいけない用事でもあればいいのだが、幸にも不幸にも、今のところ絶対に帰らなくてはいけない用事はなく、そしてこれははっきりと不幸なことに、特別帰らなかったからと言って悲しむ誰かもいないのだ。
    バイト先のカラオケ店は年末がかき入れ時で、シフトに入れば喜ばれる。ヒマ人と陰で笑われているのは承知のうえで、「年末シフト表」の希望欄に「いつでも」とだけ書いて出した。今年もたぶん、酔っ払いの調子はずれの歌声を聞きながら、ドリンクを作り、唐揚げを温めている間に、年を越すのだろう。
    そうやって田舎の家族の顔を見なくなって、もう8年がたった。
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