「立てよバーさん、俺の魂の歌を聴け」狸はラブアンドピースなジャマイカンレゲエを歌いはじめ

頷きながら、たぬきはおばあさんの話を聞いていました。

「ジャマイカ仕込みのお前さんのレゲエでこの場を和ませてくれんかのう。このままでは家中のチーズがなくなってしまう」

「酢昆布食べるとこだったに、たぬき遣いが荒いのぉ。して、用は何じゃ？」

気がつくと、不思議なことに、どこからともなくたぬきが現れたのです！

「たんたんたぬき！」

すぐに静かにしないとこの家のチーズ、ひとかけらも残さず全部食っちまうぞ！
と。すると、おばあさんはあせってこう言いました。

たんこぶ騒動に驚いた床下で暮らすネズミ一家の父親が叫びます

愚昧なおれの失態は必ずやうめあわせするから、どうか、どうかその「名刀・夜霧」だけは取り上げんでくれー
と声がしました

かんにしてけろー、それは明日嫁ぐ娘の為の道具
のぐ

たんこぶができた床はわんわんと泣き出しました。するとどこからか、

楽しくなってきたお爺さんは、つい勢い余って最後のフェルナンデスのギターを床に叩きつけてしまいました。

「素晴らしい音色のギターじゃったよ……」
しみじみするおじいさんを励まそうと、おばあさんは孫の太郎と一緒に歌をうたいました。

田植えも終わったある日のこと。おじいさんはひとつのネットニュースに釘付けになりました。
「大変だ ばあさん！フェルナンデスが破産してしもうた！」
おじいさんは20年前に解散した伝説のバンドのギタリストでした。床の間に飾ってあるオリジナルカスタムギターはフェルナンデス製だったのです。

むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました