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ほげ
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日本人形のやうな顔だ。
勿論善く出來た人形に違ひない。
人形の胸から上だけが匣に入つてゐるのだらう。
何ともあどけない顔なので、つい微笑んでしまつた。
それを見ると匣の娘もにつこり笑つて、
「ほげ」
と云つた。
ああ、生きてゐる。
何だか酷く男が羨ましくなつてしまつた。
『いえ、これはほげほげをご主人に見てもらいたがってるんですね、ほら、ほげほげしてるでしょ』
「ほげほげ」
『ほげほげ』