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どこまで行ったとしても──それが例え世界の果てであったとしても──彼女は人がいなければ存在できない『影』に過ぎない。
それは彼女自身も理解していることだった。
数多の人々、数多のものごとを見て、聞いて、しかし自分はそれらに関与することは無い。
そう思っていた。
ある時、彼女は奇妙な場所にいることに気づいた。
そこには沢山の人がいる気配がしたが、誰一人として『彼女』が背後に憑くことは叶わなかった。
それでいながら、その沢山の人々は見えないはずの影である『彼女』について語り、彼女が実在するかのように振る舞っていた。
あるものは言った『"背後に憑いて廻るもの"は昔から存在していた』
『不安定な存在に属性を与え、安定させ、定着させ「ってことはネコミミの炉裏っ娘でもいい……ってコt…(、´・ω・)▄︻┻┳═一 ( ゚д゚)・∵. ターン
………定着させるのに最も適したものは何か?
──それは『名前』だ。 -
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斯くして名も無き影、人の背後に憑いて廻るものに名前が与えられた。
その名は……ここまで読まれた皆さまなら、もうすでにご存知のはずですよね? -
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改めて見直すともう少し何とかしようがあったな…… -
あるいはそれは、彼女の両親が事故で亡くなった時かもしれないし。
彼女を引き取った母方の祖母の所為かもしれないし。
幾度となく流れていく夜と時間の狭間で、クリスマスという概念が汚れ始めたその時からかもしれない。
いずれにせよ彼女が気づいた時、すでに彼女の居場所は"この世界"には無かった。
影。
人の背後に憑いて廻る名も無き影、それが彼女の全てだった。
名も無く実体も無く自らがいるべき場所も無い。
空を、海を、大地を征く人々……それらの背後に降り立ち彗星の尾のように人から人へと背後に憑いて廻りながら。
様々な人がいた、様々な人を見た。
様々な土地へ行き、様々なものを見た。
美しいものがあった、醜いものがあった。
賢いものがいた、愚かなものがいた。
しあわせを、ふしあわせを、清らかなもの、汚濁に塗れたものを見た。
──いずれも彼女には関係がなかった。