日中の雲が夏　夏休みまで待って

初孫を抱くことなき我が父の
末代を観ずに逝くは幸いなりや

路傍の石に憧がれし日々
無名に勝る悪名なりや

旅先の　地下の露店で　選ぶ箸

これだけは
のびてもいらぬ
爪・ムダ毛

大きめの
ホーホーホッホー
目覚ます

刻々と
変わる色味に
浮かれつつ

異なる背後に
抱きし不安

ドビュッシーの音色　しとしと　梅雨の入り

長雨の気配　お庭が水たまり

ヒマワリの　大きな葉の上　チビカマキリ

驚嘆！と脳内で読む　強炭酸水

底抜けた
柄杓握りしめ
才なき身

微かに残る飛沫
器の底を濡らさんと

熱をもつ
端末を冷やせ
保冷剤

弁当と保冷袋と保冷剤

鉄鍋の
うちで回るは
肉野菜

まとめ仕上げる
あんの有無をや

「痛み耐え 呼気が遠のく どこからか 孤独の音が 聞こえたみたい」袴田朱夏さんの句

ちいかわの　チロルチョコ缶　8個入り
さっき見つけた　お気に入りぽちっ

保守すれど保守すれど
人待ちきたらず
詠み人知らず

……念のため拝啓にも移しといた方がいいのかな

故なき
虚しさよ去れ
梅雨の夜