• Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    今回ご紹介するのは身体障害や精神疾患についての映画です。オカルト・ホラーとしてではなく、過去どういう取り上げられ方をしてきたのか、今現在と比べてどうなのか…という視点で見ていただければと思います。

    最初は「フリークス」という1932年制作の映画から。もしかしたら知っている・観たことがある人もいるかもしれません。身体に障害のある方々が多数出演されている非常に有名な映画で、なんとアマゾンにて配信されています。
    ttps://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09KQ3HZFF/ref=atv_dp_share_cu_r
    生まれつき下半身が欠損しているジョニー・エック氏、小人症のアールス夫妻、どこか鳥のような風貌になってしまうゼッケル症候群を抱えたクー・クー氏、当時の見世物小屋の大スターでシャム双生児のヒノレ卜ン姉妹…など、一部の登場人物以外は障害のある方ばかりが出演されています。
返信の受付は終了いたしました。
  • Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    四肢のない身体障害…日本国内では乙武氏が同様の障害を抱えている…プリンス・ランディアンは、眉毛でマッチに火をつけて煙草を吸う妙技を披露してくれたり、ジョニー氏は手で階段を降りて走り回ったり片手でポールに立ったりと、ある意味貴重な映像が残されています。ちなみに、吃音症のロスコー氏も出演されているのですが、現代では広く認知されている吃音症もフリークとして扱われていたと思うと、時の流れを感じてしまいますね…。
    ネタバレですが…最後は誰もが羨む美女がフリークスに囲まれ"鳥女"として見世物になるというショッキングな終わり方をします。このあたりも障害のある人はどこか禍々しいと受け取られていた一面が垣間見えてしまうような…。
    ちなみに、小人症の奥様を演じたデイジー氏ですが、きちんとまとめられたヘアスタイルや衣装が物凄くお似合いで一番好きな登場人物です。他の女性に目移りする夫に嫉妬して涙する姿がなんともいじらしいというか愛らしいというか…。
  • Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    続いては邦画「おそいひと」
    こちらは重度脳性麻痺の男性が主人公なのですが、その役が「介護のため訪れた女性に恋をし、失恋をきっかけに殺人鬼に変貌する」という、2007年制作とは思えない、むしろ当時だから発表できたのか…とにかく壮絶なストーリーです。残念ながら配信はされておらず、レンタルかDVDを購入するしかないのが非常に惜しい。主演・住田氏のインタビューも公開されており、
    「実際の障害者の実像はそんなに美しくないし、ドロドロしたものだから(略)障害者の中にも頑張らない者もいるし、大酒飲みも□ケべもいるし、詐欺師も泥棒もいます」
    「総理大臣・厚生労働大臣・国会議員・官僚などにも見てもらいたい。(略)最後にニッコリ微笑みながら「お帰りの際は気をつけてください。障害者を怒らせたら怖いですよ」と言いたいね」
    …と、当事者によるタブーへの切込みと批判が語られています。インタビューは↓
    ttp://x51.org/x/07/12/2050.php
  • Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    最後は「クリーン、シェーブン」
    こちらTter主のイチオシです。激オススメです。マジでオススメです。アマゾンビデオのリンクはこちら
    ttps://onl.tw/6L9SdMw
    「統合失調症を患った男が娘を探すため駆け回る」というシンプルなストーリー。"あの"DSM監修なのでかなり気合が入っています。そのおかげか、統合失調症…公開時の96年は精神分裂病…の描写がとにかく真に迫っており、まさに「健常者向けの統合失調症体験映画」だと言えるほどの迫力があります。
    冒頭の耳をつんざくノイズ、死んでしまえ!やってしまえ!と罵詈雑言を吐く幻聴、トマトを切る手は震えるし、コーヒーを3杯頼みそれぞれに砂糖を入れ同じ回数かき混ぜる。躊躇わず車を盗んでガラスを叩き割り、残ったガラスに新聞紙を貼り付ける…。視聴者は電源を切ればノイズから解放されますが、主人公:ピーターは寛解するまでノイズに悩まされると思うと…。
  • Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    ピーターを連続殺人犯と思い込み付け回す刑事。ピーターの妻は刑事に誘われて一夜を共にするし、ピーターの母親なんて、やかんの沸騰音に耐えられなくなり立ち上がったピーターに合わせて立ち「座りなさい」と(わざわざ目を合わせて!)命令したり、実家なのに1日10ドルだからと金銭を要求し、娘はどこか訊かれて「昼寝でもしたら?」とごまかし、サンドイッチをわざわざ作らせる…。もはや娘以外の登場人物みんなどこかおかしく、ピーターも「病人だけど本当は心優しい」みたいなフィクション像を崩すような危うい行動が多いです。前述の窃盗もそうですが、その時にボールを追いかける少女と目が合う、幻聴がやれ!殺ってしまえ!と命令する、凍りついたような瞳のまま車を出て、聞こえてくるのは少女の悲鳴…。
    …ピーターが連続殺人犯かどうかあえて曖昧に描かれているのもあり、マジでやったんか?と不安にさせる描写が素晴らしいです。
  • Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    クリーン、シェーブンはとにかく"音"が生理的な不快感を煽る使い方をしているので、大きな音が苦手な方はお気をつけください。また、爪を…皮膚を…と生々しいグ口いシーンもいくつかあります。性的に暴力をふるうシーンはありませんが、いずれも苦手だな…という方はお気をつけください。
    Tter主は映画館で観て号泣しました。マジで。ラストシーン、ピーターの「頭に受信機が埋め込まれているんだ」という妄想を受け止めた娘が、船の無線機で「パパ、聞こえてる?」と語りかけるシーンがあまりにも悲しく切ないし後半はずーっと泣いてました…。上記の注意点が平気な方は是非一度見て頂きたいです。

    余談ですがこの思いの丈を詰め込んだ激長文レビューを尼に投稿したらBANされて消されました。マジで許さんからな尼ゾン。アンチヴァイラルのレビューも消しやがって…。

    以上です…。
  • Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    …しょうもない余談の後でアレですが、統合失調症の患者さんが「実際に聞こえた幻聴を再現してみた」という動画が投稿されています。
    こちら、音声自体は低音に加工された男性の声なのですが、文言がやや怖いのと、同様のご病気を患っている方、寛解された方、診断は出ていないんだけど通院してて…という方は、念の為ご視聴時はご注意ください。You Tubeへの投稿です。
    ttps://onl.tw/LTyHWVS
  • 返信先: @52gNg9さん 統失は誤解も多いけど、この音声がリアルに聞こえてたら平常心でいられるわけないですね。
    まず不安感がものすごくあり、次に幻聴、終いには家族が騙してる!のようにどんどん追い込まれていくんだと思います。本人は孤独です。
    お薬が必ず良く効くので、過度に恐れたり、酷い事を言ったりしないでほしいですね。寛解される方もおられます。家族としては「人が変わってしまう」点は老人性の認知症などとショックは同じくらいと思います。
    特殊な病気では決してありません。
    貴重な資料のご紹介ありがとうございました。患者家族より。
  • Tter主(52gNg9)2022年6月28日
    返信先: @Pq1BYSさん 私も初めて聞いた時は驚きました。統失で通院中の友人も「声のトーンは違うけどこんな感じの幻聴が聞こえる」と関心していたので、本当に貴重な資料だと思います。
    統失含む精神的な病はだいぶ知名度が上がったとはいえ、誤解や偏見は残念ながらまだ強く残っていますよね…。統失は薬の効果が非常に高いので通院&投薬さえ受けられたら、ほとんど変わりなく日常生活を過ごせると聞きました。実際、この動画の投稿者はお薬でかなり寛解に近づいたと補足説明しておられますし。
    ご家族の辛さ、そしてその辛さへの理解も広まって欲しいですね…。当事者が第一とはいえ、仰るとおり、身近な人が発症された時のショックは計り知れないものだと思います。
    こちらこそ、ご丁寧なコメントをありがとうございました。他の投稿は怖い話や動画についてが多いですが、そういう話がお好きなら、よければTter削除まで時々見に来てください〜!