• 東北大震災の前、岩手の八幡平にツーリングに行った時のことだ。
    当時、八幡平にはユースホステルがあった。
    そのユースホステルの隣には廃ホテルがあった。
    恐ろしいほどに美しい山の中、ユースホステルの客は自分たちだけだった。
    夜、風呂に入ったあと、1階のテラスに出てタバコを喫んでると、
    隣の廃ホテルに明かりがついている。
    正確には、ホテルの廊下らしきところをライトらしき光が動いている。
    あれ? 警備員でもいるのかな? と思った。
    翌朝、オーナーに「昨日、隣のホテルに警備員が来てましたよ」と言うと、
    オーナーは目線をそらして「そんなわけはないですよ」。
    「だって、中に入るには、玄関の封鎖してるベニヤを剥がさないといけないんですから。気のせいですよ」
    八幡平を降りて、町の人たちに話を聞くと、その廃ホテルは、どこをどうやって入り込んだのか、たまに自殺者が出るそうだ。
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