• 食べられるのであれば見た目など気にしない、腐っていないのであればそれでいい。長持ちするように、出来るだけ噛んで満腹感を得て、少しでも腹に溜まるようにと食料を口にしていた。
    しかし古ぼけた本を見てみると、どうやら昔の人間は目で楽しむ、匂いも楽しむと言ってやたら料理に凝っていたようだ。どれもこれも装飾品か芸術品のように見た目が綺麗だった。一体これらの料理からはどんな匂いがして、どんな味がしたのだろうか。今を生きる自分にとってその本の中身は空想や妄想にも近いものに感じた。楽しむ余裕なんて、今の自分にはない。