スレ主
風に吹かれて宙を舞うビニール袋を撮ったら、世界が停止した。
もともと人気のなかった公園で、彼女は硬直する。一体どうしてこんなことになったのだろうか。先ほどまで風にそよいでいた桜の枝も、夕闇の道路を走っていた車も、全てが動きを止めている。真っ白なビニール袋も、海を漂うクラゲよろしく宙に浮いたままだ。
まるで自分の方が、写真の世界に迷い込んでしまったかのようだった。
異世界転生を夢見ることはないが、まさか時間の停止能力に目覚めてしまったのだろうか。いやもしくはこのビニール袋が特殊なのか。そう思って彼女はビニール袋に触れてみたが、特に何も起きなかった。かさりという軽い音を立てただけで、相変わらず世界は静まり返っている。地面に伸びる遊具の影だけが、ひたすら長い。
常日頃ならパニックになっていたかもしれない。だが今日は尋常でなく疲れていた。驚きつつも「まあ人生長いんだからこんなこともあるかもしれない」と思うくらいには。
一部の投稿は、削除または非表示設定により表示されていません。