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楽しい。心が軽くなる。けれどそれは、自分に自由をもたらすのとイコールではないのだ。
寝返りを一つ打って、ベッド脇の壁に向き直る。
(自分の心の内側を切り貼りしたもんしか書けないにしても、そんで書いていいねが0だとしても、金にならなくても、何者になれなくても……俺が俺として一番しっくりくるのが、書くことなんだな)
焦燥があっても、愕然としても、嫉妬したとしても。自分磨きの輝きからは程遠いが、確実に存在する自分の心の置き場として、これ以上しっくりハマるものがないくらいに。
彼はスマホの画面に向き直った。そうして最初の一文を書き出そうとしてから、ちゃんと寝てからにしようと思い直し、目を閉じる。
枕元に置かれたスマホの画面が、流星の尾のように光った。 -
「どうして書くの、やめられねえんだろうなあ」
正直他に楽しいことはたくさんある。
ゲーム、写真にジオラマ作り。他の趣味であるそれらは、日常の気持ちを軽くしてくれる。文章を書く気力がない時も、気分転換の一環として助けられたことは少なくない。あれこれと苦労もあるが、そういう趣味たちは文章を書いている時ほど、彼に自分との対峙をもたらさないせいかもしれない。
そこまで思い至って、ふと気付く。
「……あー、そっか」