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多分作中には
「おまたせ、葵陽」
「紹介するね! 俺の彼女の石王怜央(いしおれお)さん」
「寒かったでしょ、買ってきたら飲みな」
紙袋からす、と差し出されたのはチェーン店のカフェオレであった。自分好みにカスタム出来るのがウリのひとつで、カップには葵陽好みのカスタムが印字されている。受け取ったカップ以外の温もりに、ねへと頬を緩ませていると、怜央はもう一つカップを取り出し友人に差し出していた。
「葵陽と仲良くさせてもらっています、石王です。よろしくお願いします」
「どっちが彼女?」
があると思う。
怜央さんはスパダリキングオブザ彼女で葵陽さんは自己対象のメンヘラから愛情をしこたま受け取って可愛くなってる彼氏。女装はしません。 -
姫宮葵陽(ひめだあおい)はフラれてしまった。彼にとって通算六十三回目の交際であった。人一倍愛されたがりの姫宮だが、どれほど相手に愛情を求めていいのかがわからず、煮え切らない態度のせいか最後はいつも別れを告げられてしまう。冷えた風の影響もあり、鼻を鳴らしていると周囲から溜め息が聞こえた。
「なんで私っていつもこうなんだろ」そう嘆いた女性は、先ほど四十七回目の交際を終えたばかりなのであった。
愛されたがり×愛したがりの凹を凸を埋めまくる、ピタッとハマる恋愛コメディ