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「プッ、ははは!!190万!はははは!」
体を折り曲げてげらげらと笑う男に、俺は急速に顔に熱が集まるのを感じた。多分今自分は、額まで真っ赤だ。
自分でも眉唾話だとわかっていたが、タイツの話を知っているやつが現れてつい期待した。なのにいきなり、現実という名の冷水をぶっかけられたようだ。
なけなしのプライドを傷つけられて、笑い過ぎでむせている男に腹が立ってくる。
「別にこんな子供だましみたいな話、真に受けてるわけじゃ……っ!」
怒りに任せて大声を出しかけると、ばちりと真っ黒な目と視線があった。その光のない眼には、喜色が輝いている。
「お前そりゃ、運転手に担がれたな。本当はその20倍はかたいぜ?」 -
人の少ない24時間営業のファミレスのボックス席で、ピアス男が長いスプーンの先でチョコバナナパフェに乗ったアイスを弄んでいる。
俺はその前で両手を膝の上に揃えて、肩を縮めていた。
「…たまたま乗ったタクシーで。幻のタイツってのがあって、見つけたら買い取るやつがいるって」
「ふぅん。いくらって聞いた?」
ストレートすぎる質問と視線が向けられ、俺は手つかずのコーヒーを睨んだままごくりとつばを飲んだ。
「……ひゃ……、190、万。」
俺の言葉に、とたんにくしゃと男の整った顔が歪んだ。