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「勝ったやつが、総取り……」
そう口に出した瞬間、頭の天辺まで全身の毛穴がぞわりと泡立つようだった。
落ち着こうとしてコーヒーカップにてを延ばすが、ソーサーがカチャカチャと音を立てるばかりでうまく持ち上げられない。
「ま、まさか。そんな……そんなギャンブル聞いたことない。マンガじゃあるまいし。それに俺は、190万って聞いたし」
自分の声が震えているのが、自分でもよくわかる。
「そりゃ、お前に見つけさせて自分が賞金ほとんど取るつもりなんだろ。『買い取るやつ』を知らないんだから、運転手のとこにいくっきゃねーしな。連絡先渡されてねぇ?」
俺は息を呑んで、反射的にズボンのポケットを手でおさえた。
その中のスマホのケースには、運転手から渡されたメモ書きが挟まっている。
俺の仕草に、男は更ににやりとした笑いを深めた。
「ほらな。お前、俺についたほうがいいよ。俺なら折半とまでは言わねぇけど、そこまではガメつくないぜー?」 -
不意をつかれた俺は、阿呆のような声でピアス男の言葉を繰り返した。
男は口元についたチョコレートアイスを指で拭いながら、がらんどうの目を笑うように細めた。
「そうだ。参加者は今多分だが、だいたい300人以上。一人頭が10万円」
「参加者……?何の……」
全く話が見えないせいでアホ面を晒す俺の前に、パフェ用の長いスプーンがつきつけられる。
「なにって、幻のタイツを探すこのゲームだよ。参加費10万、買ったやつが全部総取り」