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終末世界ったー
終末世界ったー
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そう言って飛び出した同僚がもう2日も戻らない。
たかだか下っ端研究員の俺たちに何かができるとは思えないし、お上の連中は今頃宇宙旅行で羽を伸ばしてるに違いないけどさ……だからって一人で逝くなよ。この鯖の味噌煮缶はお前の分なんだぞ、俺はこの缶詰が苦手だってお前は知ってるだろう。ちくしょう、死ぬまでこの不味い缶詰と添い寝なんて、涙が出てくるよ……
あぁ…そうだな、ここには来ない、そうだけど、俺たちはどうなるんだ?
あんなのと対峙して、武器無しで、勝てるわけ無いだろ…。
みんなで小さな画面を覗いてるとなんかくすぐったいわ
なぁ、今音しなかったか?
知りたくなかった
クトゥルフが目覚めた?
脳が理解を拒む間に色々滅びそう
すぐ横までゾンビが来た時は生きた心地がしなかったけど、本当に夏場に水を浴びせて動きが止められるなら、身の安全を確保しやすくなるのになあ。
なにかたべたい。おなかいっぱいたべたい。あたたかいものがいい。
おかあさんのつくってくれたシチュー。トロトロのおにくたくさん。
でもゾンビだらけでそとはマトモにあるけないし。たべものさがしにいけない。シェルターのなかでずっととじこもってる。おとといくらいからごはんもらえてない。おとなのひとはもっとまえからたべてないみたい。
おなかすいた。おなかすいた。おなかすいた…ああ、なんだ。おにくならそこらじゅうにいるや。よかった。これでみんなおなかいっぱいになるね。
海といえば鮫!
まさか、世界中の鮫が陸を支配するとは思わなかったよね!
俺たちは鮫が来ない海に逃げ込んだ。
もしかして、俺たち、いれかわってる〜?!
お前ならお盆に帰って来れるからその時に近場の調剤薬局でじいちゃんの薬を調達してこいと
この電話どこからしてんの?って訊いたらこうだ
かかりつけ薬局さ漁りに来て持ってくとこだから言ってんだ!って
じいちゃんばあちゃん母さん妹を守る親父を手伝いたいからお盆終わっても向こう残るわ
この辺だと昔親に連れられて○○山の湧き水汲みに行ったことあるから明日行ってくる
ゾンビは都市部集中してっから大丈夫だって
シェルターを開けてください
怪我人もいます
シェルターを開けてください
子どもがいます
シェルターを開けてください
お年よりもいます
シェルターを開けてください
我々は人◼️です
シェルターを開けてください
俺が若い時は二酸化炭素が多くて地球温暖化が危惧されていて、スーパー植物は二酸化炭素を多く吸収して酸素を排出する効果を期待されていたんだ。
実際効果はあったが、予想以上に成長したせいで空は覆うし、酸素を排出しすぎてむしろ人類に向かない空気になってしまった。
今の若い者は知らないだろうが、昔は空を飛行機という乗り物が飛び、建物は地上○○階なんてものがザラだったんだよ。
せいぜい2~3階程度の建物が限界で、出掛ける時は酸素ボンベ必須、植物の侵食を避けながらの移動のために移動も物資の運搬もままならない昔とは全然違ったんだ。
あぁ昔に戻りたい。
………ああ、はぐれてしまったのは自分の方だったか。目の前に親友がいる。もうそろそろ私もそっちに行ってもいいかな?そう言うと親友は大きくて大量の歯が生えた口を開けて笑った。
そうやって何も捨てない政府が主導を握り、子供部屋のプラレールが捨てられない大人のように、何もかもに価値を見出し、世界はゴミになっちまった。
密閉した部屋の中でガスマスクを外し、拾ってきた勝利品の缶詰を眺める。食べられそうだ。
ギシギシと窓の外で風力発電の巨大なプロペラが回る。
少し前ならアレに鳥がぶち当たって3日に一度は鳥肉が食えたんだけどなぁ…。
で、その状態でウゴウゴしながら襲ってくる。ゾンビってスライムに進化するんだ、へえー…
中の通路でゾンビに遭遇した時は昔通販で買った警棒を使う
人に襲われた時にも有効なんだよな
折り畳み式の長くも短くもない強度のある武器便利