しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
その他しりとりのルールに則っていないものや、単語のみもNGです
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  • 「だとしても心配なのよ…!それと、隣にいる人間の女の子は誰かしら?」
    「あ…、わたしはシオン」
    ペコリと頭をシオンは下げた。
  • タッタッタッ──。誰かの足音が聞こえ、シオンとベリタルは同時に振り返った。翼の生えた女性が「ベリタル!生きていたのね!」と駆け寄ってくる。
    「誰かと思えば……。ちょっと下界に落ちただけで死ぬわけないだろうが」
    そう言って、ベリタルは溜息を吐く。どうやら彼の知り合いのようだ。
  • 「苦しくはないのね? 本当に」と念を押すシオン。ベリタルは少し笑みを浮かべながら首を振る。「大丈夫ったら、大丈夫。心配かけて悪かったな。さあ、この階層を見てみるかい?」。石雲の家の外に目をやった。
  • 手についたそれは赤から深い緑色へと変色していた。
    「……っと、まぁこういうわけだ。あん時お嬢ちゃんを呼ばなければよかったかもしれねえなぁ」
    逃げてるように見えたからつい、よ。とベリタルは顎髭を撫でながら呟く
  • 「……を?」。変な声を出して思わず赤面するシオン。しかし、傷口が見当たらなかったのだ。さっきまで確かに怪我をしていたはず。
    「嬢ちゃん、俺達の身体は……、なんていうかな、頑丈にできているんだ」
  • 「なるほど…」とシオンは呟くがよく分かっていない。
    「さ、お嬢ちゃん。この世界を観光するかい?」
    ベリタルは手を差し出す。
    が、彼女は「ううん。観光よりも、怪我の手当てだよ」ときっぱりと断った。
  • 「だいぶ進んだ技術なのね! どうなってるかさっぱりわからない」とシオン。「いや、お嬢ちゃん、これは俺たちにもどういう原理かわかっちゃいないんだ。俺たち翼人自体、大昔、もっと上の階層の人間が、趣味で作ったようなもんだからな……」
  • ただの雲ではないようだ、この足の下に広がる白いもの。ふわふわなようで、しっかりと足を捉えてくれる。
    不思議そうな様子を感じたのか、ベリタルは聞いた訳でもないのに答えた。
    「石雲って言ってな。まぁこれを加工して家やらなんやらにするわけだ」
  • 「ははっ、たしかに俺は名乗ってなかったな。俺はベリタル」
    「ベリタル…、よろしくね」
    シオンは少し微笑んだ。
    上の世界の住人は、やはり羽がみんな生えている。
    シオンは改めて自分がいた所と違うと実感した。
  • いよいよ上の世界に到着する、というところでシオンはまだ自己紹介していなかったことに気が付いた。自分の名前を教えると、彼は笑いながら「知ってるよ。銀髪の兄ちゃんが散々呼んでたからな」と言った。
    「じゃあ……あなたの、お名前は……?」
  • ちらっとシオンを見てから翼人は言う。
    「上の世界だよ、嬢ちゃん」
    シオンは「上の世界…」と復唱した。
    楽しみなのだが、不安もある。ただの人間の自分が足を踏み入れて良いのだろうか?
  • 高く、高く、二人の身体は空を登る。シオンは不思議とその高さを怖いとは思わなかった。けれど、聞かずにはいられなかった。「どこまで登るの? どこまで行くの、私たち?」
  • 鈴を転がすように笑うシオン。
    そして思い出したかのように言った。
    「あ…!ごめんなさい、わたし…重たいよね。メイドによく、食べすぎですよって言われてて…」
    申し訳なさそうにするが、誰が見ても彼女の体型は華奢だった。
  • 暗闇の中を飛びながら、翼人は「そう落ち込むな、嬢ちゃん」と笑う。
    「あの兄ちゃんにも、きっと何か事情があるのさ。それに……昼間も言ったが、俺と嬢ちゃんは本当なら関わるべきじゃなかったんだ」
    そう言いながらも、彼はこうして自分を助けてくれた。シオンが「……お人好し?」と呟くと、図星を突かれた翼人が目を逸らす。
  • ニッと彼は笑った。そのあと「銀髪の人は、あんなおっかないのか?」と翼人は問う。それに対して、小さく首を左右に振るシオン。
    「ゼノは…いつも優しくて、笑顔が素敵でかっこいい人だったの。どうして、怖くなっちゃったのかな」
    ぱっと見はわかりにくいが、悲しそうに俯く。
  • 「たいしたことはない。俺たちは頑丈なんだ、お嬢ちゃん」と翼の人。たしかに彼が羽ばたいて飛ぶスピードは速くなっていく。自分がとらわれていた地上から、遠く離れるように。
  • カバンをぎゅっと抱きしめる。
    今から言うのはワガママすぎるかもしれない。
    「空は…いつか飛べればいいの。今は怪我の手当をしたい…。さらに悪化したら、わたしが悲しい…」
    シオンは翼人の怪我をしているところを見た。