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小説書いったー
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HKkLgG
2022年6月15日
恋人と別れるたびに行けなくなる場所が増えていく。この前は高知県で、その前は愛知県。数年前に沖縄県に行けなくなってから、私にとって最南端は鹿児島県になった。ああ、富山県に行けた頃はよかったなあ。どこの居酒屋に入っても海の幸がおいしくて。でも、もう行けない。行ったらいけない。
うちはそういう家系だった。別れた恋人の出身地に行くと、もれなく大けがをしたり災難に遭ったりするのだ。先祖の中には命を落とした人もいる。
「だからさっさとお見合いで結婚しときなさいって言ったでしょ」
そう言って大好物の芋焼酎をかっくらう母は、九州地方に足を踏み入れることができない。
「まあまあ、なんとかなるよ。僕がいるんだし」
父のリュックから大きな文旦といごねりが覗く。ただ一人、うちの中で行けない場所がない父の元には、親戚じゅうから土産物の依頼が舞い込む。
「それで家族旅行の行き先だけど」
「あんたの彼氏、どこ出身だっけ」
ちょっと! と言いかけて少し悩み、北海道、と返した。
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うちはそういう家系だった。別れた恋人の出身地に行くと、もれなく大けがをしたり災難に遭ったりするのだ。先祖の中には命を落とした人もいる。
「だからさっさとお見合いで結婚しときなさいって言ったでしょ」
そう言って大好物の芋焼酎をかっくらう母は、九州地方に足を踏み入れることができない。
「まあまあ、なんとかなるよ。僕がいるんだし」
父のリュックから大きな文旦といごねりが覗く。ただ一人、うちの中で行けない場所がない父の元には、親戚じゅうから土産物の依頼が舞い込む。
「それで家族旅行の行き先だけど」
「あんたの彼氏、どこ出身だっけ」
ちょっと! と言いかけて少し悩み、北海道、と返した。