• ずっとお家から出られずいます。
    代々続く古い家に独りぼっちです。歳のせいか掃除もままならず。時折、近所の人が手伝いに来てくれます。皆、知らない人。話しかけても不思議そうに見つめられ。自分が誰なのか忘れそうです。

    昔は子どもたちが遊びに来てくれました。赤ちゃんが生まれたと、見せに来てくれて。あの子たちも成長したことでしょう。毎日の忙しい中、人は昔の存在を忘れてしまうのかもしれません。

    さびれたインターホンがなりました。久々に人に会いました。知らない人でしたが、なにやら悩んでいました。
    夢を叶えたく、しかし、もどかしい現実なようで。希望と不安で辛そうでした。私は医師ではありませんが、年の功で多くの人の話を聞いてきました。私は黙って話をききました。

    「億万長者になれたらいいです
    数分後、その人は苦笑しながら去りました。少しでも笑顔になれたのなら、私も嬉しいのですが。

    玄関先に小さな光。みると5円玉。
    あの。これは一体?