• 飴色をしていた、部屋の中にいたような気がする。さみしい夕日が差し込んできたような気がする。あなたは帰ってこなかった、そんな記憶だけが残っているような気がする。集合住宅だったような気がする。隣の部屋の子供の声が響いてきたような気がする。夜はちょっと寒かったような気がする。雨戸がいつも引っかかったような気がする。私はただ一人で泣いていて、あなたは帰ってこなかった、たぶんそうなのだろう。私は涙を流し尽くして、かわいてしまった。水を求めてあの川の中に身を投げてしまおうかと思った。私は魚になる。思っただけで、私は生活を、人生を取り戻した。さみしい夕日が差し込んできたら、薄いカーテンを閉める。