• お稲荷さん

    江戸期の由緒ある狐らしい。
    通勤がてら毎朝挨拶してたら、
    夢に狐さんがお礼にきた。
    3つ願いを叶えると。

    夜中悩み
    カネをくれ、と言った。
    狐さんは怪訝そうな顔をして
    系列が違うけど、まあ
    と話した。
    わざわざお礼にきてくれたのに
    カネをくれはえげつなかったか。
    朝。
    お寺にあるような立派な鐘が。
    床が抜けそう。
    夜、次の願いで
    すぐ消してもらった。
    狐さんは
    せっかく別系列、お寺を
    説得したのにと朝まで文句。
    不機嫌そうだった。

    夜中考えた。
    江戸生まれの狐さんが
    誤解しない言葉。
    大判小判と言いかけたが
    念の為、丁寧に説明した。
    黄金色、薄くて平で
    誰もが好きなもの。
    狐さんは、得意分野だと
    自信たっぷりで消えた。
    朝。
    大量の油揚げが。
    僕は全て
    神社に奉納することにした。
    夜。
    狐さんが満面の笑みで来た。
    もう1つ願いを叶えると。
    僕は
    二度と夢に出ないように話した。
    狐さんは朝までずっと礼を話し
    笑顔で去った。

    夜。
    久々に安眠できそうだ。
    僕は日常の幸せをかみしめた。