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親しかった訳ではない同級生への淡々とした感情とノスタルジックな雰囲気がたまらなく好きです…。 -
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内容自体はあまり明るくないのでちょっと不安でしたが、こんな素敵な言葉をいただけて嬉しいです…!ありがとうございます! -
私はそれをニュースで見た。彼は画家だった。画家になったこともニュースで知った。画家という職業はゴッホとかモネとかくらいしか知らない私は、現代にも画家という職業はあるんだなとぼんやり思った気がする。そうして、あの頃一つ前の席に座っていた物静かな男の子が今や随分と遠いところにいるものだとも。
彼の個展には一度だけ行った。近所の百貨店でやっているのを見かけたからだ。月並みに綺麗な絵だと感心して、帰りにポストカードを一枚買った。彼の代表作らしい、不思議な夜の森の絵がプリントされたものを。
後ろ姿ばかり見ていたから、映し出される顔写真は確かに彼のような気もしたし全くの別人のような気もした。
『アトリエは海に近く、裏手を少し行けば切り立った崖があることから海に身を投げたのではと…』
私は、彼はようやく自分の絵の中に行けたのだと思う。ポストカードに耳を寄せて、微かに聴こえてくるいつかの口笛が私の幻聴で無ければの話。