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数年後、かれらの比類なき努力により待望の比類なき宇宙戦艦は完成した。
老人はその黒光りするボディを眺め、目に涙を浮かべ、
ジュンとしながらこうつぶやいた。「この船をヤマ卜(ぼく)と名付ける」。
およそ70年前、このシェルターの近くで轟沈した、
かの巨大戦艦にあやかっての命名ではあったが、
もはや老人の脳は溶ろけつつあり、
なにやら比類なく間違ったネーミングがなされたのであった。
かくして、比類なき宇宙戦艦の、あてどもない旅が始まる。
号砲一 発轟かせ、いまヤマ卜が立つ!! -
いや、正確に言えば、死滅したかに見えた、というべきであろう。
過 去に日本と呼ばれた国家の領土のなかで、
最南端に位置する孤島の沖 合いに構築された地下シェルターのなかに、
人類はその比類なき系譜 を辛うじてつなぎとめていたのである。
このシェルターには、かつて比類なきバッタ屋として名をはせたひとりの老人と、
3人の若い男、ふたりの若い女性、そして猫が623匹に 犬が117匹、
みみずが1000匹、羊が65535匹いた。
この村社会の長ともいうべき老人は、もはや命の育むにふさわしくなくなった
地球から脱出すべく、比類なき宇宙戦艦の建造に精を出していた。
もちろん、 人間5人と動物67275匹らも老人の元で
第2の地球を探す旅に出るべく、 懸命に働いていた。