• ハァ、今日も疲れた─。
    大きな溜息と共に電車の空席に座り込むと、おもむろにスマホを取り出し愚痴投稿サイトを開く。
    (あ、応援ついてる。)
    昼休みに投稿した愚痴にいくつかの共感のコメントが寄せられ、口の端が上がるのを悟られないか周りを気にしつつ、マスクで見えないだろうと思わず微笑んだ。
    と、その時だった。
    ピロン。
    SNSの通知音が鳴る。
    (彼からだ)
    [おやすみ]
    たった四文字と自撮り写真。でもそれだけで嬉しくなる単純さに我ながら呆れる。
    [おやすみ]とこちらも送る。
    彼はとても忙しい。だから時間のない中でこうやって送ってくれるだけで満足。
    本当はもっと側にいきたいけどそれも難しい。あの人はモテるから。
    だから誰よりも理解してあげる存在でありたい。
    だから誰よりも彼を信じてあげる存在でありたい。
    だから誰よりも近くにいてあげたいの。
    GPSによると彼のマンションはこの駅の近く。
    ずっと見守ってあげるからね。
返信の受付は終了いたしました。