• ふと肘掛けに置かれた自分の腕を眺める。老いて皺だらけになった重い腕。
    そっと目を閉じて幻想に浸る。けぶるような薄紅色の花を背に、あの人が私にはにかんだ微笑みを見せている。薄紅がふわりと優しく空を泳ぐ。

    陽だまりのような柔らかな心地がした。これが死というものならば存外悪くない。私の腕が肘掛けから静かに滑り落ちた。
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