OK
  • ある所に、それはそれは美しい娘がいた。
    欠点がないとは言わないが、珠に入ったその傷さえ、結局は彼女の美しさを助長するものでしかない。
    神が己の理想を込めて作り上げたのだと言われても納得するような、まさに美の体現。
    そんな彼女のことを、多くの人は愛していた。
    しかし、中には彼女に行き過ぎた愛情や嫉妬を覚え、無理矢理に手篭めにしようとする者、傷つけようとする者もいた。
    彼女はそんな者達を常に微笑んでいなしていた。
    とある人が彼女に聞いた。
    "なぜそれでも微笑んでいられるのか"と。
    彼女は笑って、"ストレスを貯めないことこそ、私の美の秘訣ですもの"と答えた。
    彼女は彼女の意向を無視しようとするものの意向を無視し、傷つけようとするものは傷つけた。
    か弱そうに見える長細い手足も、美しいが故に見舞われる危機も、彼女にとっては正当防衛という名の隠れ蓑を作る材料でしかなかった。
    彼女という珠に入った1つの傷。
    それは、どうにも抑えのきかない"加虐衝動"であった。
返信の受付は終了いたしました。