• カウンターに座った俺は注文を終え、メニューに書かれた長い説明を読んでいた。

    「選び抜かれた小麦粉を当店独自の比率でブレンドし、手と足を使って打った麺は大変コシが強くなっております。自慢のつゆに使われているカツオブシは7種類を絶妙な割合で配合されています。どうぞ風味豊かな香りをお楽しみください。中に入っている野菜は大きめにカットしてあります。億が一マズい時にはお申し付けください笑」

    自信に満ちた文章に期待が高まる。
    運ばれてきた熱々のうどんを口に入れた。


    うん。

    くそまずい。

    この麺は粘土か?スープは醤油の入れすぎで鰹節が死亡している。野菜、デカすぎて中が生。
    材料にこだわっててまずいってどゆこと?
    食材も泣いてるし俺も泣きそう。

    「どうですか…当店のうどんは?」

    店主ドヤ顔。
    お前この出来でよくその顔ができたな。

    「あー…こんな味は初めてです。」

    ぎこちない俺の返答に店主が頷く。

    「皆さんそう仰います。」

    俺は手元で雑誌掲載候補リストからこの店を抹殺した。
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