• サイモン・ハロルドはベリーベリー州の議員選挙に立候補した。所属する政党もなければ、有力な支援団体もなかった。それでも、サイモン・ハロルドはお金持ちや伝統的な名家、高い学歴を持った人間だけが政治をするのはおかしいと思った。
    サイモン・ハロルドは印刷工として働いてきた全ての貯金を払って選挙活動をした。家族、親類の誰も応援しなかった。
    サイモン・ハロルドの選挙は失敗に終わった。金持ちや労働団体の代表たちに大きく差をつけて落選した。
    サイモン・ハロルドはすべてを失って、川辺に座ってただ川の流れを眺めていた。
    ひとりの少女が駆け寄ってきて、「あげる」といってシロツメクサの花を差し出した。
    サイモン・ハロルドは声を出さずに泣いた。