• ハチだ!!!

    少女は困った。いつもなら避けて通ればよい。蜂なんて関わらずに生きたほうがどちらも平和に過ごせるのだ。

    しかしそういう訳にもいかなかった。

    何故なら少女はすでに、自販機にお金を入れて、ジュースのボタンを押してしまったのだ。

    逃げれば110円が無駄になってしまう。

    少女は逃げる訳にはいかなかった。

    ハチはブーンと羽音を立てて少女の周りを警戒した。

    少女は自販機の口に手を恐る恐る近づける。

    ブン!!!

    より一層音が大きくなったので、少女は一歩下がった。

    心臓の音が速くなる。
    どこだ、やつはどこにいる。
    しかし見当たらない。
    どうやら自販機の周りには花がないので、さっさと去ったらしい。少女は安堵して帰路に着いた。

    玄関の前に来たところで、しかし、足を止めた。

    玄関扉の真前に、カマキリが構えていた。
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