• からんころん、からんころん。
    木履を突っかけて歩っていると、ごろごろ、キシキシと音をたてて馬車が走って行く。
    真冬の寒さの中、御者と馬の息から出る湯気が、烟の様に棚引いている。

    ここは、今まで通った街の中でもでか過ぎるほどデカい街である。
    俺が用の有るのは、この街の1軒の防具屋である。

    先頃、近隣の山の中でコカトリスが見付かったとの報があったのだが、奴を退治するには盾に鏡を仕込まねばならないのだ。
    そんな面倒な加工をやってくれる防具屋は、このくらいデカい街で探さねば、まず見つかりはしない。
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