• 君は恐ろしく整った顔をしていて、やけに耳触りの良い声をして、いつだってきらきらと笑っている。砂嵐のような言葉の渦の中でもその声は良く通るのだから、いつか地獄の淵に立っても君の声だけは天上から聴こえるのかもしれない。
    そんなことを本気で考えるほど君はどこをとっても僕に好ましく出来ていたので、もしかしたら君は人間では無いのかもしれない。だからアメリカなんぞには行かないほうが良いと思う。
    「その心は?」
    「……留学なんて寂しいよ」
    便利な世の中で良かった、向こうに着いたら電話するよと言った。実に呑気なものである。電話口で僕だけ老人になってしまうかもしれないのに!
    嘆く僕を見て、君はとうとう崩れ落ちるように笑った。
    「君にかかると冥王星もすぐそこだ」
    ……銀河系ジョーク?やっぱり君は人間じゃないのかも。そうでも僕は一向構わないが、国家組織とかが放っておかないかもしれない。
    慌てて買ってきた交通安全のお守りが、君の生きる道をも護ってくれるといいんだけど。
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