• 弱弱しく汚いうめき声をあげると、彼は満足そうに笑い、わたしの手を握った。その様子はまるで童話の王子様のように神々しく、立派に見えた。今では脆弱そうだった細い腕でさえ神性を纏っており、薄い唇からつむぐ言葉は詩歌のようだった。「__……」訥々と名前を呼ぶと、なんですか、と彼は微笑み、そしてあどけなく開けた赤い口で唇を塞がれた。朦朧としてくる意識の中、さよならは、吐きそうなくらい、甘い恋の味がした。