• y9kHXg5月6日
    返信先: @自分 3

    翌日、彩乃が店を訪れると、宗次郎は微笑んで時計を手渡した。蓋を開けると、秒針が軽やかに動いている。彩乃の目が潤んだ。

    「すごい…! こんなに綺麗になるなんて…」
    宗次郎は静かに言った。
    「この時計は、戦場をくぐり抜けたもの。持ち主の想いが、時を超えてここにある」

    彩乃は時計を握りしめ、ふと尋ねた。
    「どうして、こんな小さな店で、こんなすごいことができるんですか?」

    宗次郎は窓の外、港の海を見つめた。
    「若い頃、時計はただの道具だと思ってた。だが、歳を取ってわかった。時計は人の人生を刻むものだ。それを動かすのは、職人の誇りさ」

    彩乃は深く頷き、時計を胸に抱いた。

    「この時計、娘にも伝えたいです。ありがとう、おじいさん」
    宗次郎は笑った。
    「おじいさん、か。いい響きだな」
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