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森に着いた。
あの時の場所の草はまだ焦げたままで、抉れた土は縁が崩れて境目がはっきりしなくなっている。
私達は焦げた草から少しだけ離れたところに座って、小さなパンダと視線を近づける。
「さて」
ピンクのパンダは焦げた草のすぐそばでくるりと私達の方へ向きを変えた。
「お嬢さんたち、来てくれてありがとうパンダ。パンダンは『パンダン』って名前パンダ。そう呼んでくれたら嬉しいパンダ」
「それから、」
かわいらしい前足というか手というか、その歩いていたのとは違う短い腕を軽く振ると、地面の草から小さな光の柱が立って、いつか聞いた鈴のような澄んだ音と共に弾けた。
「二人とも、お久しぶりホー。まさか再び会うことがあるとは思ってなかったホ」
光の柱から、あの冠を被ったフクロウが現れた。
私は思わず声をあげる。
「あっ!!!あの時のフクロウさん!実は探してたポン」 -
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フクロウは一瞬だけ身構えるような仕草を見せたけれどすぐ元通り威厳を正して答える。
「大きな声を出さなくても聞こえるホー」
可愛い声で。
「ごめんなさい」
確かにいきなり大声を出すのは良くなかったと思う。
そのやりとりにシャランちゃんがほんの少し微笑んだ。
「えーと、いいかパンダ?」
小さい子どもが無理に格好つけるように、こほんと咳払いをする。
私達は軽く背筋を伸ばし座りなおした。フクロウはパンダンの近くに羽を閉じて立つ。
「パンダンの名前はもう言ったパンダね? こっちにいるのは『ホッホー』パンダ。信じてもらえるかは分からないけど、」
私達にとてとてと近づいて真剣な表情で続ける。
「パンダンとホッホーは、妖精パンダ」 -
「そうポン」
こう話している間も、低い位置からのノックが数度している。
「青髪と金髪のお嬢さん、話はホッホーから聞いてるパンダ。聞いてほしい事があるから、ここを開けるかあの森へ一緒に来てほしいパンダ~」
私達は顔を見合わせる。
私とシャランちゃんは森へ行くことにした。
私はずっとずっとあのことが気になっていたし、確かに怖かったけど光の世界に来る前は勇者として世界を救ってきたのだ。ここでも救える命が、世界があるなら、
自分の手で救えるならそうしたい。
静かな高揚感を心のうちに感じながら、街をピンクのパンダの後に付いて歩く。
一緒に歩くシャランちゃんのほうは緊張した面持ちだった。時々私を見て、悲しそうな顔をしたり、目を伏せたりしてしまう。
私には理由があまりはっきり推測できず、やっと救世の旅が終わって心安らかに過ごしているのに乱されるのがイヤなのかもしれない、というぼんやりしたものでしかなかった。