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お借りしたテーマ「おみくじ」 -
信心深い方ではないが、初詣だからとお神籤を買った。通し番号のない古い棒をバイトの巫女に渡すと、しばらくして神主が帰ってきて、私に白紙の紙を手渡した。『閏』という墨書だけが短冊の上で歪に浮いている。
「これは?」
「閏神籤です。ごく稀に出るんですよ。何もないお神籤が」
「…どういう事ですか?」
「つまり、神様も人間全員分の運勢を占う暇がないからたまにサボるんですよ。補欠合格だと考えていただければ」
「ほけつごうかく」
そんなのってアリか、と訝しむが、どうやらアリらしい。「貴方にはあらゆる人の吉凶のおすそ分けが巡ってきます。それが今年の運勢です」とだけ言い残し神主は去った。神様の気まぐれには呆れてしまうが、そもそも私とて本気で初詣りに来た訳ではないし、ちょっと違うだろうが破れ鍋に綴じ蓋だと思うようにしておいた。
しかし、どの程度の吉凶が舞い込むか判らないのは不安である。…が、直後に甘酒を溢されたので、どうやら本当のようであった。