• 可憐な少女が立っていた。
    透き通るような白い肌、ガラス玉のような瞳。どこか儚げな独特の雰囲気を宿しており、僕は目を奪われた。
    それは7月の朝のことだった。
    住宅街から少し離れたところに立派な家が建っている。そこの庭先に彼女は居た。彼女の周りには白い花が沢山咲いている。
    彼女は笑っていた。
    まるで絵画のような美しい光景だった。

    「あぁ、あそこの家か。」
    友達に今朝の出来事を話すと、どうやら知っているらしかった。
    「なぁ知ってるか?あそこの庭白い花が沢山咲いてるだろ?あれチョウセンアサガオって言ってな......」
    薬物にも使われる花らしいぜ。
    友は声を潜めて言った。

    僕は突然不安になり帰りがけにもう一度あの家に寄ってみることにした。
    7月の逢魔が時はゆるゆると日が落ちる。
    彼女は庭に居た。
    朝顔の花は閉じている。ずっとそこに居たのか、偶然居合わせたのか分からない。
    彼女は僕の姿をみとめて、笑った。
    この世のものでないようなぞっとする美しさを秘めた笑みだった。