• いかれころ / 三国美千子

    久しぶりに純文学を読んだ気分になった。
    遠い過去を振り返る内容なので物語全体がセピア色。
    「部落」「田舎社会」「男尊女卑」色々混ざってるけど、なにせ語り部の「私」が4歳なので暗澹たる世界が幼子の愛らしさで中和されていてバランスが良い。

    ホントに全然、文体も内容も全く違うけど自分は坂口安吾の雰囲気を感じた。(作中に桜が出てきたせいかも)

    起承転結の緩急は弱いけどノンストップで読破できた。これは本当に秀作だと思う。名作かと言われると胸を張ってイエスと言えないけど、作者がこの世に言いたかったもの、読者に残したかった爪痕はしっかり伝わる。

    良かったです。
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