• 爽やかな風だね。窓の外を眺める森くん。品が良く機敏で、毅然とした態度。進級早々に羨望と嫉妬の眼差しがそそがれるのをまるで相手にしていない。級長に推挙された時、ふさわしいのは僕の方と話してきたのは面食らった。勿論、丁寧にお断りした。結局、級長は銀行の頭取の坊っちゃんに決まった。そして今。森くんと僕は、休日の校舎に来ている。勉強のために開放された静かな空間。月曜の前日の午後、校内にわざわざ来る人は少ない。生徒は僕らだけか、数人だろう。
    風が教室に流れる。これから森くんとともに、やわらかな緑を見に行く計画だ。
    ・・・フラグかな。
    風岡