• 「はじめまして」
     突然、知らない女性から声を掛けられた。全く知らない──はずだったが、彼女の顔を見た瞬間、僕はハッとした。
    「もしかして、小説書いったー民……?」
    「うん。君もそうだよね?」
    「あ、はい……。驚いた。本当に分かるものなんですね」
    「ふふ。正直、私も吃驚してる」
     小説書いったー民かどうかは、顔を見ると分かる──。いつの頃からか、インターネット上でまことしやかに囁かれるようになった都市伝説だ。噂は所詮噂だと鼻で笑っていた僕は「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い浮かべずにはいられなかった。
     僕達は小説書いったーの話で大いに盛り上がり、しばらくしてから別れた。
     同志と語り合えた喜びから浮かれ気分で歩いていた僕は、ふと、前を横切った男性の顔を見てハッとした。居ても立っても居られない気持ちになり、僕は男性の背中を追い掛けると、
    「はじめまして。小説書いったー民の方ですよね?」
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