返信の受付は終了いたしました。
-
-
- 読み込み中...
研修を迎えることなく、私は母校を後にした。しばらくして、手紙が来た。塚原君のご両親からだった。
類まれな英知を極めた天才少年は、朴とつな田舎者の私に柔道を習いたいと懇願したそうだ。塚原君は頭が良い。学校にあがるまえの成果は科学を一変させる価値があった。
反対に、彼の身体は脆弱である。毎日、本と研究。閉じ込められた気持ち。ご両親が身体を鍛えさせたい希望は理解できる。それにしても何故、私なのだ。
大野 -
研修で塚原君に会った時、利発で大人びた子どもがいる印象よりかは、いつも同級生から離れて一歩引いて、彼らを見守っている印象であった。
研修生の私は、一学期始めの試験採点を先輩教諭から山高く押しつけられ、身動きがとれぬ状態が続いている。昼休みは食事時間が勿体ない理由で、私の給食を先輩が食べてしまう。これは教諭になるための試練らしい。しかし研修の身の私には、先輩の指導が正解かわからない。教頭に相談をした。
翌日。相変わらずマルバツをしていると、教務室の扉が開いた。校長だ。彼は笑顔で労ってくれた。安心した矢先、金一封をくれた。口封じだった。
放課後。塚原君が私の隣にきた。彼は握り飯を2つ置いた。
「食べてないでしょう」
大野