• とんとんとん。
    控えめなノックの音に気づき、部屋のドアを開けるが、誰もいない。「あのぅ…」足元から聞こえた小さな声の方を見れば、なぜかハリネズミが行儀良くこちらを見ている。

    「泊めてもらえませんか?」

    ダメだ、俺はきっと疲れているんだ。こんなに突然はっきりとした幻覚を見る自分に怯える。ハリネズミはそんな俺に構わず、にっこりしてシュークリームを取り出した。

    「これ、ささやかですがお土産です」

    シュークリームは俺の好物だ。
    もうダメだった。涙が頬をつたう。俺はハリネズミに知り合いはいないが、このハリネズミの瞳はよく知っている。それに、声が…おととし亡くなった婚約者そっくりだった。

    「おかえり」

    「あれ、もうバレちゃったか」

    「当たり前だろ」

    彼女はハリネズミに転生していた。
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  • 正直かなり好きです。ありがとうございました。
  • スレ主(Z7.Bq6)2022年6月6日
    返信先: @6P//1lさん 恐縮です。こちらこそ、ありがとうございます。