• 私は水族館が好きだ。
    暗い空間の中神秘的に輝く水槽をぼーっと一人眺める。
    カップルや家族連れが多い水族館の中で孤独に溢れた私は異質な存在。
    孤独に怯えつつも周りを近づけることができないから。

    そんな私には最近気になる人がいる。
    日曜日ならどの時間に行っても必ずくらげの水槽の前に静かに佇んでいる棒のように細い男の人。
    一度だけ目があったことがある。
    そう、あの人の瞳もそうだった。

    私と同じ、孤独から身を守るために毒をもった瞳だった。

    あの人は、なぜくらげの前にいるのだろうか。
    幼い頃くらげも毒をもっているときいたことがある。
    あぁ、そうか。

    私もそうじゃないか。
    私があの人に惹きつけられるのと同じようにあの人もくらげに惹きつけられているのだ。
    似ているようで違う、それでいて自分のことですら受け入れてくれそうなくらげに。
返信の受付は終了いたしました。