• 「いえ……わたしはもっとこの世界のことを知らなければならないわ」
    ルビーの指輪を握り、決意を固めるように言葉を紡ぐ。
    籠の中の鳥の生活と言えども、在りし日のゼノや爺やが向けてくれた愛情は本物だった。わたし自身にも、彼らが疑うだけの何らかのルーツがあるに違いない。
    「図々しいお願いだと思うんだけど、ふたりとも――」
返信の受付は終了いたしました。